埼玉県秩父郡にある街で、小鹿野の歌舞伎で有名な街である。 また山好きな人には、日本百名山の一つである両神山でも知られている。交通の便が悪く、電車の場合は秩父鉄道か西武鉄道の秩父駅からバスである。 今から十数年前に車で両神山に登った時には、関越道の花園インターから国道140号で長瀞の横などを走りながら「ずいぶん遠いな」との印象があった。 しかし2013年に四阿山に来た時は、バイパスが出来ていて距離的に少し短くなっていた。
小鹿野町の歴史は古く、観光協会のHPによると「約1000年以上前の平安時代中期に編さんされた「和名抄」に記されている「巨香郷こ(お)かのごう」が小鹿野の始まり」と出ている。 このような歴史があるせいか、地元民による歌舞伎や火縄銃を使ったお祭りなどの伝統芸が盛んである。
2013年3月に小鹿野の節分草自生地と四阿山に登った帰りに、小鹿野の街中を少し歩いてみた。
小鹿野の中心街かと思われる道を走っていて、目に入った立派な商家。 車を停めて眺めてみたが、現在は何を営んでいるのか判らなかった。
屋根の上の看板には「醤油店」となっているが、現在は村上酒店。 案内板によると、江戸時代末期に創業され、昭和11年まで秩父郡で醤油の製造販売を行っていたとのこと。 現在の建物は、大正7年に製糸工場改進社の建物を移築したそうだ。
この酒屋さんの前に「秩父錦 甕口酒あります」との貼紙があった。
お店の女将さんの話によると、モロミの絞り口から垂れてきた、無濾過の酒を「甕口酒」と呼び、普通は蔵人しか味わうことのできない酒だそうである。 これは良いものを見つけたと、早速一升瓶を買い求める。
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品質を保つ為新聞紙で包装されている | 期待にたがわず美味な酒であった |
表から見ると、昔の旅籠の雰囲気を持つ越後屋旅館。 宿泊客が到着すると、洗い桶で足を洗ってくれそうである。
自宅に戻りネットで調べると創業140年の老舗旅館だとのこと。
越後屋の向かい側に並ぶ民家。 昔は商店だったようだが、今はやっていない様子。 今はほぼ死語に近く、あまり使われない言葉の一つに「しもたや」がある。 「しもたや」とは商店ではない、普通の家を指すが、この家並みは「しもたや」という言葉がぴったりするような雰囲気を持っている。